貢物神

おとつい買ってきた、高遠るい『SCAPE-GOD』(メディアワークス、電撃コミックス)。
さいしょ単なる読みきりだと思っていたんだけどね。

      ScapeーGod (電撃コミックス)   →e-hon 書影つき紹介ページ

当時の感想(2005/04/29)を、手抜きエフェクトで再掲。
…もわもわと、“Enter the Dragon”風のアレで。

 電撃帝王に載っている読み切り短編、高遠るい/作の『SCAPE−GOD』。
 …血みどろイモータル百合しぃ漫画? ←永劫闘争と赤貧モータル眼鏡っこオプション。
 借金かかえて走り続ける血反吐マラソンが共通テーマです、たぶん。
 一人称が“余”の神格存在・ひつじさんの、尊大な言動間のギャップがツボに入りまくり。
 風呂場でバンザイしつつ「(余の服を)脱がせろ」とか、だらけた線で可笑しい。
 寿命あるもの=眼鏡の娘がさし出すことになる、不愉快なステップを踏むけど“ささやかな未来”の覚悟が、ちょっと 凄味あってよかったです。
 えーと、あれだ。 ミナス・ティリスの烽火を伝達する、北の山脈越えの一族みたいな。(判りにくい例え)


――このスタート地点から、2話の自堕落っぷりには笑える。 ぴちぴち露悪趣味。


破天荒で人を喰いまくった内容のわりには、きっちり片をつけてきたなぁ。 特にラストの着地点。
はなっからセカイ系やら百合やら、うさんくさいプロレス風煽り文句を身に纏っているのも、作者が浴びるほど呑んでとっくに通過した地点だからやもしれず。
だからギラギラと(Go!ナガイ)、ダメ人間なりに、過剰に前向きですよねぃ。 …内容はしこたま不健全でつが。
べたべたと自分語りにしない、エンタメ的な突き抜け方をしてる。 評論のパロディも誘導として仕込んで。


「……?」だった帯の一言には、読後きちんと収束されますね。
凸凹バラエティ起伏激しいけれど、一冊で完結する高遠作品としてお薦め。