「神々の黄昏」のその後に

冨士宏ワルキューレの降誕 2巻(完)』(マッグガーデン)を読了。
1巻の新生ぶりが、掛け値なしの傑作だったので期待大だったのですが…。


うーん、一見さんにはお勧めしにくい中身になっちゃったか。 急いで完結させてしまった故の、どうにも粗さが目立ってしまう。
もとが淡白な絵柄に、神話世界や生活といった味つけの妙味で成り立っているところがあるので、1巻の「とぼけた新解釈」の密度が薄れてしまうと、定型内シリアスに縛られる恐れがでてくる…というか。
さいしょから伝聞や芝居風のところはあったのだけど、サンドラ族の独白や新米教授の講釈には、どうしても唐突な感がしてしまう。


      ワルキューレの降誕 2―The birth of Walkure (BLADE COMICS)

これで救いがあるのは、駆け出し神族・ワルキューレ(神名ではなく、地上で名乗った名)の、決断が早いことですな。
単に未熟でおバカな、スサノオっぽい若武者ぶりが1巻ではよかったのですが、この2巻でも譲れない一線の見定めは早く、行動するときには迷いナシなのがいい。 …単に悩むのが苦手ともいうが。
それこそ棘付きメイス振り回すのが似合っている。


先の神々の戦の“巨人殺し”に関しては、今回は地上人がらみの新展開もあり。
そうして黒い古の戦乙女・ドゥンケル様の孤高ヒーローっぷりの影で、
どうしても存在は薄くなりがちですが、測天宮の管理職女神・ヴィオレットの、お小言っぷりにも一票入れさせていただきたい。
ズール族のトシュカ(ツリ目お猿顔)の後日談も好みですね。