ゴセシケ

『合成怪物の逆しゅう』(レイモンド・F・ジョーンズ/作、半田倹一/訳、岩崎書店)を読了。 まるで小学校の図書室で借りて、帰りみち一気に読んでしまうような吸引力。
アメリカ政府頭脳センターと、生前契約で組み込まれてしまったヒトの物語。


これが1950年に発表されて(原題:サイバネティック・ブレインズ)、67年に日本で翻訳刊行された、というのはちょこっと頭の隅に置いておく。


で、かつての少年少女に静かなトラウマを植えつけた本、というのもうなずける。 風変わりな、妙に達観しつつ諦めない語り口での、社会の裏ルールと意志の話。
…とうぜん異形もありで。
政府やセンターから資金援助を受けている、「協力党」なんてのがさらっと描かれるあたり、なかなかの愛国者ディストピアっぷり。
精神鑑定による社会戦闘なんて、さいきんは子供も見聞きしてるし。


なんとなく、映像化するならジョン・カーペンターの路線(異形・警官・星条旗etc.)のような気もするけど、名前で縛るのは失礼なので、雰囲気よければ誰でもオッケー。


      合成怪物の逆しゅう (冒険ファンタジー名作選)

岩崎書店『合成怪物の逆しゅう』
 http://www.iwasakishoten.co.jp/products/4-265-95137-6.html

…下記の関連ラインナップ(冒険ファンタジー名作選冒険ファンタジー名作選 2期)。 『ロスト・ワールド』が竹本泉・絵というのは、いいかも〜。


『ついらくした月』は前に竹本絵狙いで借りてきたけど、時間がとれなくて返却してしまった(もったいない!)。 衝突自体がカタストロフではなく、その後の復興路線が…という暗めのタイムスケールが英国人らしい?
『黒い宇宙船』の、スキンタイト服にツインテール仕様の日系娘・チヨコは狙いすぎかっ。 おなじ絵師でもロシアSF『栄光の宇宙パイロット』だと、老飛行士で渋いのに。