無慈悲に君臨するもの(銀河博物誌)

再生怪人ならぬ、むかし(2004年ごろ)の再生記事。
ちょいと楽させてもらいます。


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9月も半ばだというのに、なんだか揺れ戻したように暑いー。


評判をきいて気になっていたので、 ←『泡沫の日々』2000年7月下旬
野尻抱介『ピニェルの振り子 ―銀河博物誌〈1〉』(朝日ソノラマ文庫)を買ってきて、めずらしく即日一気読み。
面白かったです。


      ピニェルの振り子―銀河博物誌〈1〉 (ソノラマ文庫)

“19世紀異星標本蒐集的ボーイ・ミーツ・ガール”…といいますか、
背伸びざかりの植民地人の少年が、冷静・沈着ニコリともしない観察者=画工の娘(宗主国人)に惚れてしまったばっかりに、下僕としてさんざコキ使われた挙句、ヘビの生殺し的倫理外の懊悩ってやつ。 ←下半身や肢体のこと。
かーなーりー倒錯入ってます。 男のコが忠犬なぶん、娘が鬼クールかつ不器用なところ(仕事熱心でヒトに遠慮なし)はツボ。


この世界、発掘テクノロジー+索具・配管・六分義・計算尺といった帆走&蒸気航海術の延長で星間船が動いているんですが、士官や計算員、水夫たちによる操船シーンは見物。
何気に周回軌道上ではヒルの方程式――船乗りのいう「前は上、上は後ろ、下は前〜」――の変則マニューバだし。 芸細。


お話はジュブナイルから大人な展開…というより蒐集家や標本商といった“原動力”寄りの視点があるので、きっちり博物誌SFになっていきます。 ヒロインの無愛想・冷徹な視点もここ。
変てこでエキセントリックな登場人物が多いけど、それぞれ価値観がしっかりしてるので、一見破天荒でも違和感はない。
未知の生物・地質を標本採集して回るというのは、やはりドキワクものです。


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はいここまでー。 今現在の界隈でも、十分通用しそうな支配×関係ですね。 イラスト・草磲琢仁だったんですが、それでなくとも画工のモニカえろーす。
これも続きが気になるシリーズ(予定)ではありんす。