手錠と紙袋
■光永康則『怪物王女』4巻(講談社、月刊少年シリウスKC)
互いのルールを探ったり規範超えたりしながらの、王族暗闘も4巻目。
作者の多彩な――A級からZ級までのホラー引き出しで味付けし、変てこコメディ成分もふりかけると、はい出来上がり。
各キャラクターの喋る台詞が、ピンポイントでその立ち位置を明確にしているのがいい。 人狼ハーフブリードのリザはとくに顕著(戦士階級)なんですが、それを揶揄する吸血お嬢・令裡も含蓄ディープでえろえろよ。 天敵どうしなのに、うすらばかっぽいゆり展開もあるよう(←棒読み)。
赤錆村の事件とか、厭ぁな画力・演出の使い方で参る。 これとキニスキー公爵の話が、おなじ一冊の中で語られているというのはジャンク贅沢な事ですよ。
それとは別の事件で、リザと姫に「見えて(話されて)」いるものの違いが、はっきり台詞に載せてあって、それはそれで通用していくのがこの作品らしいなと。
#19「昏睡王女」あたりが、仕掛けの白眉ですね。
今回の表紙絵、姫の得物は大鋏。
装丁:クレジットがはじめて入って、Shin Matsuyama氏とある。