並行20世紀の遷移点

粟岳高弘『鈴木式電磁気的国土拡張機』(コスミック出版)読了ー。

      鈴木式電磁気的国土拡張機 (キュンコミックス)   →e-hon 書影つき紹介ページ

序盤に収録された短編3話(商業誌掲載)までは不条理感もあるアイドリング状態でしたが、
文字間を読ませる情報がつまった「異星構造体」以降のエピソード(同人誌)から、一気にエンジンかかって面白かったです。
あっちの歴史では、1950年代以降の冷戦構造も変質しているのでは。 …アラスカで、トムスク7で。


スターシステム…というか世代違いのおなじ顔(←田舎だし)に見えてしまう、昭和のセーラー服〜スク水女学生のたたずまいが、複製や年代記SFにも通じそうなユルさ? と言えなくもない。 夏時間の、水と鉄塔と県道と廃屋のなかで。
のっぺりした地方の田舎(年代バラバラでも変化無し)と異星の風景が、途中のスケールすっ飛ばして繋がってしまうのは、「理解不能」の憶測部分ふくめて楽しい。


これ、2度目を読み返すとスムーズに理解・吸収できるのに驚く。
サハリンスクやクドリャフカといった用語については、『航天機構』のレビューから(大まかに)類推できたのが収穫だった。 …つか前作読みたいなー。